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伝統工芸学科(漆芸):『奈良県曽爾村 地域活性化のための㏚用工芸品制作プロジェクト』(後編)

『奈良県曽爾村 地域活性化のための㏚用工芸品制作プロジェクト』の続きです。
いよいよ仕上げに入っていきます。

駒の仕上げ作業に入ります。木目の穴を砥の粉で塞ぎ、表面に生漆(きうるし・曽爾村産)を摺り込んでは拭き取って色艶を付ける「摺り漆」の技法で仕上げましたが、この「摺り漆」の作業は計15回ほど行いました。文字部分は焼きペンで溝状に加工したへこみ部分に、表面は白の漆を、裏面は朱の漆を使い色を付けています。この作業で駒の完成です。

駒入れの仕上げも駒同様に「摺り漆」の技法を用いています。木目の目止めは錆漆を使いました。そのためか、駒に比べて艶の出方がより良いようです。曽爾村産の生漆を使い、15回ほど摺り込みと拭き取りを行いました。

盤の仕上げは「木地呂色塗」の技法を用いています。木目の目止めには錆漆を使い、中塗り後に線描き蒔絵の技法を応用して枠の線を描きました。

線描きの後は上塗りの工程です。漆が乾いてから表面を研ぎならし、磨きをかけていきます。仕上げの艶出しの工程に曽爾村産の生漆を使い、磨き上げました。

最後に足と飾りの白蝶貝をはめ込み完成です。取り扱い説明書も併せて作成しました。

 

今回のプロジェクトは企画から制作まで学生主体で実施しました。制作の途中では思わぬ失敗など反省点もありましたが、学生諸君は大変頑張って取り組み、良い経験をさせていただいたと思います。この場を借りまして曽爾村の皆様に感謝の意を表したく存じます。制作した将棋盤一式はぜひ永くご愛顧いただき、お役立てください。

 

京都美術工芸大学工芸学部伝統工芸学科:『奈良県曽爾村 地域活性化のための㏚用工芸品制作プロジェクト』

伝統工芸学科(漆芸):『奈良県曽爾村 地域活性化のための㏚用工芸品制作プロジェクト』(前編)
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