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3年生 建築デザイン演習Ⅱ(伝統建築領域)の演習風景

今回は3年生の建築デザイン演習Ⅱ(伝統建築領域)のご紹介をさせて頂きます。

3年生からは建築デザイン領域と伝統建築領域にわかれますが、伝統建築領域では新日吉神宮様にお世話になり、神社の建物を調べさせていただいています。

新日吉神宮は、大学から歩いて15分ほどのところにありますが、今から860年ほど前の平安時代、永暦元年(1160)に創建された由緒ある神社です。

境内には本殿の他、幣殿、透塀、拝殿、楼門、廻廊などの主要な殿舎以外にも、摂社といって少し小さなお社や手水舎、土蔵など、多くの歴史的建造物が残されています。

▲歴史的建造物が多く残る境内。建物ごとで班に分かれて調査を実施しています。

今回はこれらの建物ごとに班に分かれグループワークで調査を行っています。その内容は、

   ① 実測調査・・・メジャーを用いて建物を計り、方眼用紙に建物の形や寸法を記録する。

   ② 破損調査・・・建物の変形や傷んでいるところを写真や図面で記録する。

   ③ 仕様調査・・・建物に使われている材料や建てられ方を調べて記録する。

などで、調査結果を基に図面をCAD(Computer Aided Design)で清書して報告書にまとめ、みなさんの前でわかりやすくプレゼンしてもらおうと思っています。

もちろん、演習としてこの成果は、自分たちの将来のためにもなりますが、それと同時に作成された図面や報告書は、修復や建て替えの際に必要となり、歴史的建造物を何十年、何百年、何千年先の将来へ伝えていくために非常に重要な資料ともなるわけです。

さて、10月から始まった調査は、正に調査日和といった良いお天気に恵まれる日があったり、急に寒くなったり雨が降ったりと天候に左右されますが、なんとかかんとか作業を進め、段々と要領を得てきました。

▲気候が良いと作業が楽しく捗(はかど)ります。

現地調査は、建物の造りや用いられている材料、木の組み方、屋根の葺き方など、本物を具(つぶさ)に見られますので理解がよく進みます。

また、どこが傷んでいるのか、傷んだ原因は何かを考察することにより、これからの建築設計にも活かせるようになります。

そして、みんなで作業を分担し、進捗や情報を共有することにより、目的への達成方法も真剣に考えるようになります。

▲測る人、書く人など作業を分担し効率よく調査を進めます。

▲メジャーの使い方も慣れ、作業がスムーズに進むようになりました。

実測調査は、方眼用紙に建物の形や測った寸法を記入していきます。これを「野帳」といいます。野帳をいかにきれいに仕上げるかで図面の精度も変わってきます。

時間が多少かかってでも、誰が見てもわかるきれいな野帳を作ることが調査のポイントです。図面を書くのが苦手だった人も、ここで現物を見ながらオリジナル野帳を作ることにより自分の技術力が高くなっていくのが実感できます。

始める前に先輩の野帳をみて、「こんなんできない!」、「無理~!」と言っていた人も、段々と克服してうまくなっていくのです。

自信がないと頼りない線で描いてしまいますが、図面に自信が持てるようになると徐々に自信を持った線で描けるようになります。

そうなればこっちのもんですね!

▲楼門2階の調査風景。建物と野帳を見比べて整合性を確認しながら作業を進めます。

▲土蔵2階の調査風景。少し暗くて埃っぽいですが、作業に集中してしるため気にならないようです。

また、最初は「今ある建物を測って書くだけ」だから簡単だと思っていた人も、全体的な建物の構成や細部、曲線、彫刻などが多い日本建築を図化するのに思ったより手間取ると感じるようになります。

真剣になって調査に取り組まないと、図面に齟齬(そご)が生じてくるのに気付くようになって観察力がついてきます。よく見てきっちり書くことが如何に大変で大切か認識するのも実測調査の良いところです。

▲お手本を見ながら平面図を仕上げているところです。段々と細かい図面にも慣れてきて、自信のある線になってきました。

▲じっくり観察して建物の造りを野帳に記録します。観察力が重要になってきます。

徐々に仕上がってくると、みんなの図面を見比べて進捗状況と野帳の仕上がりを確認します。最初から早くて上手な人とそうでない人がいますが、最終的にはいかに正確で見やすい図面に清書するか、自分の技量がどれだけ進歩したかが評価になりますので、気にする必要はありません。

それぞれの伸び代(のびしろ)が「どれだけ成長するか」が楽しみです。

▲みんなで野帳をみて進捗確認を行っているところです。それぞれのやり方や工夫が共有できます。

梯子や脚立を用い少し高いところも測ります。あまり慣れない作業ですので多少の危険が伴いますが、みんなで安全を確認しながら作業を進めます。少しでも「怖い」、「危ない」と感じたら作業をやめて教員が代わりに測ったりもします。

建物を傷めないことはもちろん、自分の身の安全を第一に考える慎重さも自ずと身につきます。

▲梯子の上の調査も最初は恐る恐るでしたが、板についてきました。

▲小屋裏での作業風景。最初は狭くて暗く、自分がどこにいるのか判りませんが、図面を書いていくうちに造りを理解します。

今は実測調査を行っていますが、更に破損調査や仕様調査に進み、どんどんと伝統建築への理解が広く、深くなることを目標に取り組んでいきたいと思っています。

※ 掲載にあたっては新日吉神宮さまにご協力いただきました。ここに深く感謝申し上げます。

(准教授 井上年和)

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