工芸領域
Crafts
日本ならではの美意識や優れた手業を学び、
新しい価値を備えた“KOGEI”を創造する。
学びのポイント
Learning Points
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01
伝統の手業を学び、独自のデザイン力やプロデュース力を身に付ける。
本来は、徒弟制度でしか学べない貴重な伝統工芸の技術を体系的な教育システムで学ぶことができます。また、技術に加えて工芸の新しい価値を生み出すためのデザイン力を磨き、さらに作品を市場に提案するプロデュース力も合わせて身に付けることができます。
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02
異素材との融合などを試行錯誤することで、美の可能性を開拓する。
新しいデザインは、多くの場合、既存の素材やアイデアの組み合わせから生まれます。例えば金属と漆を組み合わせたり、陶器を和紙のように利用するなど、異素材との融合を図ることで、その可能性についてさまざまな実践を通して学びます。
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03
独自の企画によって、工芸の市場価値を高める方法を習得。
優れた工芸を社会により広く展開していくためには、どのようにして商品価値を高めていくべきか。プロデューサーとしての視点を身に付け、オリジナルの企画を実現する力を磨きます。また、領域横断型のプロジェクト演習などでもプロデュースを実践する機会があります。
3つのコース
3 courses
陶芸コース
Ceramics
日本の現代美術としての「陶芸」は今、世界で非常に高く評価されています。「陶芸」には実は幅広い表現があり、さまざまな表現を展開するためには確かな技術と知識が不可欠です。伝統的な工芸として、新しい生活工芸として、アートとして、あるいは現代美術として・・・一人ひとりの志向により自由な作品づくりを展開します。
学びの特色
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アートとして・・・オブジェをつくる
土は立体表現において無限の可能性がある素材です。土という素材を駆使した「オブジェ」は、現代における陶芸の重要な一角を占めています。
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新しい生活のための工芸品として
伝統的な絵付けを深く学ぶとともに、新しい生活工芸を目指し、オリジナルの絵付けを楽しみながら探究します。
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基本的伝統技法をじっくり学ぶ
ろくろ成型、石膏による鋳込みなど、基本的な成型技法を徹底的に学びます。基本的伝統技法の確かな習得によって、多彩な作品づくりが可能となります。
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陶芸理論を学ぶ
釉薬や焼成、粘土の素地の特性などについて、その分野のエキスパートである教員の指導により深く学びます。そのための実験機器もとても充実しています。
Student’s Voice
実践的な創作活動を通して
豊かな知識と技法が身に付きます
もともと陶芸教室に通っており、大学でも陶芸を学びたかったので入学を決めました。実技の時間が豊富で、ろくろ成形や絵付の技法はもちろん、釉薬の種類や扱い方も実践的に学べます。先生方はとても親切で、1つ質問すると10返ってくるほどたくさんのアドバイスをくださいます。今は「表裏」や「太極」をテーマに、近くで見るといびつに見えても俯瞰してみると真円を成すような表現に取り組んでいます。複雑な造形に耐えられる土の強度や加工の手法など、先生に質問しながら創作し、表現の幅を広げています。作品を通して自分が感じている世界を人に美しいと感じてもらえるように、これからも技と感性を磨いていきたいです。
宮川 鷹矢 さん
3年生 屋久島おおぞら高校(鹿児島県)出身
木工・彫刻コース
Woodworking & Sculpture
木材を組み合わせて家具や箱などを作る指物(さしもの)・ノミや豆カンナなどを使って木材の塊から形を彫り出す刳物(くりもの)・ろくろで木材を回転させて曲線を削り出す挽物(ひきもの)といった木工の各種技法、木材を彫刻刀やノミを用いて彫って形や模様などを作る木彫刻、これらの技術を基礎から学び、身近な素材である木から新しい造形を生み出す力を育みます。
学びの特色
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道具の扱い方と基本を理解
カンナ・ノミ・彫刻刀といった木の加工に必要な道具の扱い方について、研ぎ方など手入れの方法も含めて学びながら、指物と彫刻の基本を理解します。
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基本的な木工技法の習得
あらゆる木工制作の基本となる刳物、ろくろを用いて成形する挽物の技法を学び、ひと通りの木工技法を身に付けます。
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彫刻技法の習得
古典文様の地紋彫りを通して運刀法を学び、平面の中に立体感を持たせる彫刻技法を習得します。彫刻のベースとなる作図や油土を用いたエスキースの制作にも取り組み、より自由な造形力を伸ばします。
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家具制作に挑戦
自由なデザインによる棚や椅子などの家具を制作。習得したさまざまな木工技法を駆使してオリジナルの造形を探究し、その技をさらに磨いていきます。
Student’s Voice
昔ながらの道具と情報機器で
イメージを具体化し作品を制作
入学するまでは、カンナやノコギリなどを使う機会があまりなかったのですが、小物から家具まで幅広い作品を制作できる点に魅力を感じ、木工を専攻。実習では、木の表面の仕上げ方や、変形を予防し耐久性をあげる工夫など、木材制作における重要な知識を学びつつ、道具の使い方、手入れの方法を身に付けられます。Illustrator®やPhotoshop®、3Dモデリングソフトなど、美大生らしいアプリの操作方法やコツなども学ぶことができ、パソコンへの苦手意識も薄れ、自分のイメージ通りに作品を制作できるようになりました。
山下 千尋 さん
3年生 東京高校(東京都)出身
[取得資格]二級建築士/木造建築士/2級インテリア設計士/アソシエイト・インテリアプランナー/色彩検定2級
漆芸コース
Japanese lacquer art
「漆(うるし)」は「ウルシノキ」が自分の傷を塞ぐために分泌する液体です。漆のものづくりは、日本では古くから行われ、時代を通じて暮らしに役立つものや人の目を楽しませるものなど、さまざまな形で伝えられています。天然素材で環境負荷も少ないため、これからの持続可能な社会を考えていく上でも役立つことが多いと言えるでしょう。
学びの特色
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基本の道具の調整
漆芸の作業に不可欠な刷毛やヘラといった道具作りと、道具を加工するための刃物研ぎの方法を習得します。
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塗り・蒔絵・螺鈿などの基礎技術をマスター
日本独特の漆芸技法である塗り(研磨仕上げの呂色や変わり塗り、乾漆)・蒔絵(器の表面に漆で文様を描き、金属粉を定着)・螺鈿(虹色に光る真珠層を文様の形に加工し貼り付け)など、複数の技法を学びます。
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「『用』のあるもの」と「『用』を持たないもの」の制作
基礎技術を習得したら、「何を、どのように作るのか」も自分で考え、調べ、実験し制作する段階へと進みます。2つの課題制作を通して、自主的に漆を使ったものづくりを展開します。
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研究と応用
オーソドックスな作り方や、素材の研究を活かした新しい塗りの技法の模索、平面の絵画的表現、立体の自由造形といった多くの経験をもとに、4年間の集大成となる卒業制作に取り組みます。
Student’s Voice
知識と技術の向上だけでなく
チームワークも学べるカリキュラム
もともと漆芸に興味があり、漆芸を専攻できる大学を探してKYOBIに入学を決めました。3年次から始まるゼミでは、何をどうつくるか、すべて自分で決めて進めていかなければなりませんが、先生に相談しやすい環境なので、少しでも疑問に思ったことは質問して進めています。初めての技法に挑戦する際は、知識と技術、両方がつながる感覚で、とても有意義な時間だと実感しています。他にも、グループワークを経験できる演習があり、企業の方と進めるプロジェクトもあるので、実践的な力が身に付いたと思います。
森 真穂 さん
3年生 六甲アイランド高校(兵庫県)出身
森さんの作品
課題「用を持たないもの」《握-aku-》(制作中)