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建築学部

小梶研究室の紹介 2025

みなさん、こんにちは。小梶研究室ゼミは11名の学部生と3名の大学院生が在籍しています。今回は学部生4年次の卒業設計につなげる様々な取り組みを紹介します。前期はそのテーマを絞るための研究と、将来に向けての基礎力のトレーニングを主に行っています。研究室では建築空間の内部に焦点をおく設計手法により、外部と内部が輻輳しながら魅力のある建築となる設計を核として様々な手法や考え方の研究を行っています。これらを通じ、持続可能な社会の実現に向けて家具やインテリア、空間はもちろん、建築から街へと様々に発展することを期待しています。このブログでは現在までのゼミ活動と、昨年度の卒業制作での作品紹介をします。

3年次では研究室配属となった後、4年次生の卒業制作の模型制作などに協力し技術を習得します。大きな模型は大学の体育館で作るなど、共同での作業は貴重な体験となります。そして4年次では基本的に週2回・3時間ずつのゼミ授業を新校舎・東館4階のオープンゼミスペースで行っています。「アトリエ」と「エスキース」を繰り返し、力を磨いていきます。

「アトリエ」では今年は鉛筆による建築や街並みのスケッチを行っています。将来の建築家・デザイナーとしての素養を磨くトレーニングとして、またこれら全員のスケッチを基に情報を加え東山スケッチ集・小冊子の編集・発行を企画しています。いっぽう「エスキース」では、卒業制作のテーマに向けて、現在は様々なディスカッションを繰り返していきます。

時には、フィールドワークを行います。建築には欠かせないスケール感や技術を肌で感じること、それらを共有することでディスカッションの幅が広がります。先日は大学院生を交えてグラングリーン大阪 VS.にて「安藤忠雄展青春」を見学しました。数々の名作建築のドローイングや模型が多く展示されていて、安藤建築の力強い設計プロセスに触れ大いに学ぶことができました。

安藤忠雄展青春で模型を食い入るように見る学生たち

その後、大阪駅前のグラングリーン大阪の視察を行い、都市や建築について意見交換を行うことができました。

ここからは、昨年度の小梶研究室ゼミ生の卒業制作作品の紹介です。大災害に立ち向かうための施設、気候変動や少子高齢化社会における心の持ち様への空間の提言、地元の文化・産業の発信からのまちづくりなど、様々な方向へ展開しましたが、代表的な2作品(受賞作)を抜粋し紹介します。

1点目は中井咲希さんの作品「ベンガラに染まる ー吹屋ふるさと村のまちづくりー」です。

地元の岡山県高梁市の吹屋はベンガラ生産やその原料により栄えた地区で、そのベンガラや石州瓦による赤い街並みが大変印象的です。そのジャパンレッド発祥の地ですが、現在は観光・産業に対しての価値が維持できなくなりつつあり、ここではその文化の発信基地として作家による工房や作品の販売などを通じて観光や産業の活性化につながる新しいいまちづくりの提言を行っています。

2点目は森野みのりさんの作品「山頂の灯火 ~災害と共存する新しい働き方~」です。

こちらも地元の高知県須崎市は海の幸に恵まれた温暖で風光明媚な町です。しかし南海トラフ地震では津波を含めた甚大な被害が予想されています。2次の避難施設として近隣の低い山頂に新たな建築を確保することで人々の安心に応えることはもちろん、平常時は人口減少を食い止めるべく若い人世代のUターン・Iターンを支援・促進する施設として計画しています。

(特任教授 小梶吉隆)

芸術導入実習 授業紹介
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