こんにちは。建築学科教員の根來です。新入生が入学し、早や前期も折り返し地点を越えました。大学生活にも慣れてきたことでしょう。1年生は一般教養の授業もあるのですが、特に建築学科の学生にとって専門科目である建築設計導入実習は、気合の入る授業だと思います。今日は、その授業の様子をお伝えしたいと思います。
この科目は金曜日の3・4・5限で行われ、週末を締めくくるものです。教員5名の他、SA(スチューデント・アシスタント)も4名配置し、学生の習得効果を高めるためのサポート体制を整えています。授業では製図道具の説明にはじまり、線の練習、建築図面特有の文字や記号、建具の表現方法について学んでいきます。現在は、建築家・安藤忠雄の名作「住吉の長屋」のトレース(模写)課題に取り組んでいます。実際に図面を写すことによって、この建築が持つ空間の理解、鉄筋コンクリート造の構造や仕組み、さらには仕上げや細部へと知識を深めています。今後は模型も作成し、3次元的な空間の理解をさらに深めていく予定です。

今回のブログでは学生の生の声をお伝えしようと思い、1年生の上林早希さん、岸枝帆さんにインタビュー協力をいただきました。二人とも普通科高校出身です。
Q:建築設計導入実習の授業はどうですか?
上林)はじめてのことが多く、授業時間内に図面を仕上げるにあたっての時間配分が難しいです。思っているよりも、2倍くらいの時間が掛かっています。
岸)私も同様なのですが、わからないことは友達と相談し、確認しあいながら進めています。
Q:これまでの人生で、建築の学びに役立っていることはありますか?
岸)歴史、特に新選組が好きで、先日は屯所(宿所)に行ってきました。お城も好きで、祖父の家の近くにある松江城が一番好きです。小さい頃はレゴブロックでお城や建物をつくっていました。テレビ番組のビフォアーアフターも好きで、よく見ています。
上林)私はルームツアーなどの動画サイトをよく見ています。また実家の本棚に入っていた写真集を小さい頃から見ていて、ヨーロッパにある建物の窓やツリーハウスが好きでした。
Q:将来、どんな建築の道に進みたいですか?
上林)住宅設計に興味があります。長屋の利活用や、路地に面して縁側をつくったりすることで、人と人との交流を促すようなことに魅力を感じています。
岸)私は伝統建築に興味があります。そういった建物の保存や修復の方に進めればと思っています。一方でインテリアも興味があり、香港や台湾の映画に出てくるような雰囲気が好きです。
初学生にとって、はじめに戸惑うことは誰もが通過する道です。私もそうでした。多くの学生は入学後に新しい友達を作っていくわけですが、これら戸惑いを共有することで親交も深まっていくことでしょう。建築は一人でつくることができません。コミュニケーション力も培っていってほしいと思っています。インタビューに際して初めは緊張していた二人ですが、好きなことに関する質問に関しては芋づる式に話が広がり、総括すると建築好きなのが伝わってきました。
ここでお二人の図面を紹介したいと思います。1年生前期は設計の基本となる作法を学ぶという意味で、少し堅苦しさを感じるかもしれませんが、誠実に取り組んでおり、それは描かれた図面にも表れているように思います。ともに線の太さ(細線・太線)や線種(破線・一点鎖線)が使い分けられ、文字や数字が美しい。細部まで丁寧に描かれている様子は図面の理解度を示しており、総じて高く評価できます。他の学生もそうなのですが、この数か月で驚くくらい上達しています。


Q:最後にもうひとつ質問です。KYOBIに入学して良かった点は?
岸)大学の近くに神社やお寺が沢山あるので、授業の空きコマを使ってすぐに行けるのが良いです。先日、東山にある幕末維新ミュージアム「霊山歴史館」に行ってきたばかりです。
上林)実践的な内容の授業が多いことです。模型を見るのが好きで、キャンパス内に先輩方が手掛けた作品がたくさん展示してあるので、それらを見て刺激を受けています。
(准教授 根來宏典)