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建築学部

井上年和 研究室(伝統建築領域)の紹介

こんにちは。井上年和 研究室(伝統建築領域)のご紹介です。

当研究室では、社寺、町家、古民家、城郭、近代建築など歴史的建造物やまちなみの保存・活用・継承を目的として様々な研究活動を行っています。

今年度は大学院1名、学部生13人が所属し、それぞれの研究に取り組んでいます。

今回はその取り組みの一部を見ていただきましょう。

まずは、京都府南丹市園部町天引における古民家再生プロジェクトです。

このプロジェクトは、農林水産省が推進する「農泊」事業の一環として取り組んでいます。

茅葺き民家が連なりお堂が田んぼの中に建つ天引の特徴的な農村集落の佇まい

「農泊」とは、農山漁村に宿泊し、滞在中に豊かな地域資源を活用した食事や体験等を楽しむ「農山漁村滞在型旅行」のことで、地域資源を観光コンテンツとして活用し、インバウンドを含む国内外の観光客を農山漁村に呼び込み、地域の所得向上と関係人口創出を図ります。

そのため、滞在中に豊かな地域資源を活用した食事や体験等を楽しむための施設を計画しています。

現在は、建物や集落の調査に励んでいて、建物の管理者さんやまちづくりアドバイザーさん、建築士さん、麹作りの職人さんなどからアドバイスをいただきながら、運営プログラムを含めた計画を策定しています。

茅葺き民家の調査
建築士さんなどからアドバイスをいただきながら計画を策定していきます

また、その景観特性を把握するため、集落の様子も記録しています。そのため、村中をくまなく調査し地元の方からもお話を伺いたいと考えています。

集落調査。歩いているだけで話しかけてきてくれる温かい村人が多いです。

実は天引には建物の改修の他、薬師堂という茅葺きのお堂の修復のための茅刈りや蛍コンサートの会場準備など3年間にわたり様々なイベントにも参加していて、これからも集落活性化のお手伝いをさせていただきたいと考えています。

薬師堂修復のための茅刈り

次は、2024年1月1日に発生した能登半島地震によって被災した古民家の再生計画です。

この地震では多くの建造物が甚大な被害を受けましたが、修復が進んでいない状態です。

実際に能登半島まで足を運び、建物の被害状況や修復計画に加え、建設された時から現在までどのような改修が行われたか、建物の歴史を解明しようとしています。

建物の歴史の解明することによって、その集落の成り立ちなども判明し、歴史的な価値が高まります。

震災復興に向けて、調査を進め、一刻も早く修復が進むことが望まれます。

建物調査。修復のための図面を作成するため採寸しています。
現地の方と記念写真。宮大工棟梁と共同の現地調査となりました。

その他にも、二条城や銀閣寺、北野天満宮、豊国神社や新日吉神宮など大学の近くにある神社、芸舞妓のいる京都花街の劇場建築などの史料(古文書や古絵図)の調査研究、町家や鐘楼、石垣の耐震性に関する研究など、バリエーションに富んだ研究活動を展開しており、今後の進展が期待されます。

大学での研究が社会貢献を果たし、卒業・修了後も将来の仕事に向けての糧・モチベーションに繋がることを願っています。

(文責 井上年和 教授) 

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