こんにちは、井上晋一研究室の井上晋一です。
私は、建築計画を専門とし、特に集合住宅の中間領域に着目した研究を行っています。中間領域は、異なる空間の間に存在する曖昧な領域です。海外とは異なり日本の建築空間にはこの中間領域が多く存在します。空間と空間が直接結びつくのではなく、中間領域を介して柔らかく結びついています。例えば、日本の縁側空間はこれに当たります。このような空間と空間の関係性を追求すると、人と空間の関係性や人と人の関係性を分析・考察することになります。また、関係性を考慮してデザインすることを「関係性のデザイン」と呼んでいます。特に大学院生には、関係性を意識した研究を行ってもらっています。現在は4年生が6名、大学院生2名が在籍しています。
今回は、前期と後期に訪れた見学会の紹介を行います。今年は、関西万博が夢洲で開催されており、研究室で見学に訪れました。(青木あすなろ建設様のご厚意で万博に招待して頂きました。)学生達にとって万博へ通うきっかけとなれば良いと考えました。


1970年の大阪万博は私が2歳の時に訪れた(連れて行かれた)ことがありましたが全く記憶にございません。今回の関西万博は記憶に残る万博になりました。6月の始めに訪れましたが、後になって考えれば非常に空いている時期でした。訪れた時期は少し肌寒い時期でしたが、その後大屋根リングを観察するため複数回通ったときは、暑すぎて熱中症になりかけました。そんななか、大屋根リングの存在は万博会場全体をマネージメントする主役としての役割を果たしていたと思います

また、大学院の教授で建築家の岸和郎先生が監修した展覧会「リビングモダニティ」が国立新美術館(東京)と兵庫県立美術館(兵庫)で開催されており、大学院生と東京へ、学部生と兵庫へ見学に訪れました。たくさんの名建築に触れ、精巧な模型を見ることによって学生の創作意欲がわくことを期待します。







東京会場は兵庫会場に設置されなかったミース・ファン・デル・ローエの原寸大「ロー・ハウス」が展示されており、体験することが出来ました。東京と兵庫の会場は展示方法に違いがあり、美術館の特徴を感じることが出来ました。特に兵庫県立美術館は安藤忠雄を色濃く感じることの出来る展覧会でした。実は、グラングリーン大阪のVS.で開催された「安藤忠雄」展の見学にも参加していたため、学生達の素直な感想が聞けました。


こちらは、実験集合住宅NEXT21の見学会です。私が学生の頃建設され実際に調査研究を行った集合住宅です。築30年以上経過した今もなお現役として実験が行われています。学生達は見たこともない集合住宅に刺激を受けていました。

直近では「聴竹居」の見学を予定しています(行ってきました)。

さて、私の研究室では比較的一級建築士の受験勉強をしている学生が多く、前期は学科試験の勉強、夏期は製図の対策に追われていました。一級の試験も終わり秋からは卒業研究や修士研究で忙しくなります。これまでの経験を活かして頑張れ。
(文責:井上晋一)




