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芸術学部

2023年 造形基礎演習Ⅰ 工芸領域

今回は1年生の授業の様子をお届けします。
ご紹介する授業は「造形基礎演習Ⅰ」です。

この授業は、デザイン領域と工芸領域に分かれており、私の担当する工芸領域では、油土を使用した塑像作品の制作を行います。
今回の塑造制作は「縦・横・奥行の多方向から表現する立体造形物を一つの作品としてまとめ、全体的な構想力・表現力の習得」及び「塑造造形技法の習得」を目的としています。

課題は自由課題で、各々でテーマを決め制作を行います。
多くの学生は動物をモチーフに制作していました。

まずは制作構想から行い、デッサンを通して、自らのイメージを確立させます。
それをもとにいよいよ制作に取り掛かります。

塑像の土台として、心棒と呼ばれるものを制作します。
これは人間の骨格にあたると考えると分かりやすいでしょう。骨格が無ければ人間は立っておられませんね。
しっかりと自立させる為に木片で大きな骨格を、針金で細部の骨格を形成します。
その後、油土の喰い付きを良くするためシュロ縄を巻いて、心棒の完成です。

心棒が完成したら、油土で成型していきます。
立体は、平面とは違い多角的は造形が必要になります。
自らが制作したデッサンと写真などの参考資料を基に制作を行いました。

それでは、学生の作品をいくつかご紹介いたします。

〇「エリマキトカゲ」
荒野に生息するエリマキトカゲは、危険を察知すると、防御行動として襟を立てて二足歩行で走って逃げていく習性があります。
こちらは襟を立て威嚇をしている瞬間を切り取った作品です。
ややデフォルメはされておりますが、しっかりと身体的バランスが取れています。

〇「猫」
猫が低い位置から何かをめがけて飛び上がる瞬間でしょうか。
背中を丸めて集中している筋肉や姿勢のバランスが表現できています。

〇「サーモン」
海中遊泳するサーモンを表現した作品です。鱗の表現に苦戦したようです。
鱗や尾の運動により、水流に溶け込んでいるような躍動感があります。
全体的にも水の流れが感じ取れるような作品へまとめ上げています。

〇「ワニ」
とくに背中の鱗状の皮膚の表現にこだわっています。
強靭な尾、噛む力が2トンを超え俊敏な動きをする危険な爬虫類ですが、ナイル川から上がってきて一息ついているような姿勢です。

〇「虎」
虎のデッサンもそれなりに描き上げており、塑造造形も骨格、姿勢を決めて作り上げています。
もう少し毛の質感を時間をかけてつくり込んでほしかった作品ですが、「虎視眈々」の迫力を感じます。

工芸領域には彫刻・木工・漆芸・陶芸と様々なコースが存在していますが共通して立体物を扱っています。
今回の塑造はこれら全てのコースの基礎となる造形力を身に付ける課題です。
上手下手、器用不器用関係なく、まずは自分の思うカタチを表現できるように努力することが大切です。

彼等は大学生活も始まったばかり、大半の学生は塑造制作初挑戦でした。
まだまだこれから。
積極的に制作に取り組んで欲しいと思っています。

工芸領域 彫刻コース特任講師 青木太一

3年生「建築デザイン演習Ⅱ」(建築デザイン領域)の授業風景をご紹介します
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