タイポグラフィ課題の一つである「博物館施設で使う文字のデザイン」 の講評を行いました。
この課題では、実在または架空の博物館を一つ選び、
その施設で使用されるロゴ、館内で使われる文字、さらに書籍のブックカバーまでをデザインします。
単に3つのビジュアルを作ればよいわけではなく、
- いつ、どこで、誰が、どのように使うのか
- その施設にふさわしい文字とは何か
- 細部まで矛盾なく成立しているか
といった点を想像し、検討しながら進めていくことが求められる課題です。
■ 4回の授業をかけて作り上げた「文字デザイン」を講評
今日講評した作品は、個性的なフォルムや色彩を用いた文字、線の太さや端の処理にこだわったもの、文字同士の関係性を丁寧に整えたものなど、とてもバリエーション豊かでした。
どの作品にも学生それぞれのキャラクターが表れていて、眺めているだけでも楽しい時間でした。
課題の条件は “大文字のアルファベット26文字を作る” ことだけだったのですが、
大文字・小文字・ひらがな・カタカナ・記号・ピクトグラムまで制作してきた学生も数名おり、
その熱量と探究心に教員としてとても嬉しい気持ちになりました。
また、プレゼンテーションでも成長が見られ、
「どこにこだわったのか」「館内のどの場面で使われるのか」「素材や状況をどう想定したか」
といったポイントを、前回よりもしっかりと言語化できている学生が多い印象でした。




■ デザイン基礎実習Ⅰという授業について
デザイン基礎実習Ⅰは、デザイン未経験の学生が、
“デザインするために必要な考え方・進め方・ツールの扱い方・観察と学習の姿勢”
を身につけていくための授業です。
そのため、奇抜さだけではなく、
作品に宿る必然性や説得力 が常に問われます。
教員側も学生の新鮮な発想に驚かされることが多く、
「どう直せばこの文字の良さを活かしつつ、さらに良くなるだろう?」
と、毎回頭をひねりながらアドバイスをしています。
決して楽な授業ではありません。
作業量も自由度も高く、何度も描き直し、考え直し、細部と真剣に向き合う粘り強さが必要です。
それでも、作品が完成したときには大きな達成感を得られる授業でもあります。


■ 次回はブックカバーへ
次回は、今回制作した文字をもとに ブックカバーへ展開 していきます。
学生たちがさらに表現を深め、何かをつかみ取っていく姿を見るのを、私たち教員も楽しみにしています。




