大学院建築学研究科1年次「建築デザイン特別演習Ⅰ」では、選択課題の一つとして特任教授 岸和郎先生(建築家)の指導により「大徳寺-小さな美術館-」に取り組んでいます。
大徳寺境内または同寺近傍の敷地に、大徳寺の伽藍全体やランドスケープとの関係を考慮して小さな美術館を設計するという課題。そのエスキスに先立ち、6月2日、同課題を選択した大学院生たちが岸先生や講師の砂川晴彦先生(伝統建築領域/建築史)とともに大徳寺の真珠庵と聚楽院へ見学に伺いました。

まずは一休宗純禅師を開祖とされる真珠庵(延徳三年(1491)創建)へ。通常は非公開のところ、昨年に続いて大学院での学びのため特別にご協力いただき、山田宗正住職にご案内いただきました。
塔頭寺院の中心となる建物・方丈(重要文化財)からスタートし、庭(史跡・名勝)を眺めながら方丈に隣接する書院・通僊院(つうせんいん/重要文化財)へと回ります。





通僊院には、江戸時代前期に活躍した茶匠・金森宗和(1584-1656)好みと伝わる茶室・庭玉軒(ていぎょくけん)が付属しています。
通僊院の庭に連続する露地を進んで潜りを入ると土間があり、屋内化された庭(内露地・内坪)があることでよく知られています。

また二畳台目という茶室として最小限の空間ながら、3種類の天井形式を共存させるなど、多様な構成要素が違和感なくまとまっているところが高く評価されています。
学生たちは特別にその茶席にも上がらせていただき、広い境内の中で小さくも豊かな広がりのある空間を体感し、多くの気付きを得たようでした。

その後、聚楽院の見学も経て、課題「大徳寺-小さな美術館-」に向けて気持ちを高揚させる学生たちの姿が見られました。
本学では、学部・大学院ともに京都の中心にある大学ならではの学びの機会を多く設け、学生たちが社会に出る前に視野を広げることができるよう支援しています。