こんにちは、建築学科の人見と申します。KYOBIブログでの当方の研究室紹介も今年で何回目かとなりました。基本的に毎年行っていることはほとんど変わりませんが、今回は少し書き方を変えながら記したいと思います。
◯はじめに 変わらないもの/変わるもの
ものごとには(全てに当てはまるわけではないかもしれませんが)、変わらない部分と変わる部分があると思います。例えば、みなさんに一番身近な建築と言える住宅・住まいもそうではないでしょうか。その住宅が建つ敷地の大きさや形などは変わらない。その住宅自身も、建て替え・増築などをしない限り基本的には変わらない。またそこに住む人間(動物とかも?)が寝たり食べたりすることも変わらない。ただ、時間が経てば、その住宅が建つ敷地の、その周り、例えばお隣さんの敷地とかは、知らぬ間にということはないけれど、何かの機会に変わるかもしれません。住宅自身も、例えば部屋の中の机の位置やクローゼットの中身、照明の色など、変わる部分はあるでしょう。窓から見える風景も、少し植物が育つだけで、季節が変わるだけで変わるかもしれません。自身の成長とともに部屋の使い方・使う時間が変わったり、もしくは例えばきょうだいが増えるなど家族構成が変わることでどの部屋を使うかが変わったりする場合もあるでしょう。
当たり前と言えば当たり前なのですが(そして違う意見もあるとは思いますが)、そのような観点から研究室活動に触れたいと思います。
まず、研究室活動として、
変わらないもの:研究室のテーマ、方針、進め方、輪読の1冊目など
変わるもの:個々の学生とそのパーソナリティ、扱う具体的な事柄、輪読の2冊目以降など
とおおまかにと分けてみます。
◯変わらないもの:
研究室のテーマ、方針、進め方、また前期のゼミとして行っている輪読の1冊目は変わらない部分としてあるため、これらは過去のブログを参照ください。
少し付け足すとしたら、「私」というフィルターを通して社会を見る、という視点です。ものごとや問題を捉える時に、「私」という個人の考えや趣向・これまでの経験を一枚通すことで、自覚的になり、社会全体に対してではないかもしれないがある一定の範囲の同じ考え・境遇の人たちにとっての生活や環境がより良くなるような建築(などの)提案が行えるのではないかと思うためです。加えて、それらが集まり、重なるところを、将来、他の人と関わり話し合い・考えていってくれたらと思っています。
◯変わるもの:
1,個々の学生とそのパーソナリティ
今年所属の4年生は10名で、女子学生3名、男子学生7名という内訳です。今年はどんどん自分の意見を言う人が多く、良いことです。また僕よりも本読んでいるなと思う学生さんもいたりして、刺激になっています。
2,ゼミで輪読しているもの
輪読の2冊目として、今年は以下の文献を分担して読み発表してもらいました。
・山崎泰寛, 本橋仁, 他著, クリティカル・ワード現代建築 ─ 社会を考える建築の100年史, フィルムアート社, 2022年
・レイナ―・バナム著, 江本弘訳, ニュー・ブルータリズム:善と美の相剋, 鹿島出版会, 2025年
4年生にとっては知らない内容がほとんどだったと思いますが、彼ら彼女らなりに調べて理解し、他の人に伝える練習として。
また、各々の興味のもとに本を選び発表してもらう3冊目としては、例えば以下のようなものがありました。
・井筒俊彦著, 意識と本質:精神的東洋を探す, 岩波書店, 1991年
・仙田満著, 子どもとあそび:環境建築家の眼, 岩波書店, 1992年
・ユハニ・パッラスマー著, 百合田香織訳, 建築と触覚:空間と五感をめぐる哲学, 草思社, 2022年
上記以外にも、建築以外のジャンル、例えば心理学や食に関連するものなどを選ぶ等、各々が選んだものを一つのきっかけとして、今後の設計提案や論文執筆に繋げていくことになります。
◯おわりに
現在は、設計の学生は、対象とするテーマや敷地の絞り込み、またどのような人のために提案を行うのかを明確にすること、また論文の学生は、例えば、上記でとりあげた著者ユハニ・パッラスマー(Juhani Pallasmaa フィンランドの建築家・建築理論家)の邦訳されていない他の著書の翻訳・読解を行ったりしています。
今後、過去の事例や著作を参考にしつつ、そのつくられた・書かれた時代と変わる部分/変わらない部分を見極めながら、未来に向けて、学生さん自身にとっても、また他の方にとっても、良い成果となるものが出来上がればと思っています。
以上です。

(文責:人見将敏)




