
こんにちは。建築学科教員の根來です。4年生8名が所属している研究室です。
教育の方針~自立できる設計者を目指して~
感性と理性を両輪で磨き、実践していくことを大切にしています。KYOBIは美大ゆえに、感性の優れた学生が多いように思います。私自身、建築家としてアトリエ系設計事務所を構え22年が経つのですが、実社会は感性だけで生きて行けるものではありません。特に建築設計の分野においては、設計者ひとりで完結する世界ではなく、施主がいて、つくる人がいます。さらにその向こうには、素材を生産する人がいて、地域産業が成り立っています。その結果として、風景や街並みが形成され、歴史や文化が醸成されていきます。学生たちが社会に出た時、設計という行為を通じて、多くの人と対峙し、共感しあい、ともに協働していくためには、自身の思考を相手に的確に伝える能力としての論理的思考力は必要不可欠となってきます。そんな思いから、前期は学生各自が自ら興味のあるテーマを設定し、独自の切り口を見つけ、それを深掘りし、自らの力で研究成果をあげる時間です。そのプロセスにおいては、学生同士でディスカッションし、切磋琢磨しあい、他者の考えを包摂することにより、視野を広げていきます。私自身は住宅設計を専門としているため、それを前提とした学生が集まってきていますが、研究主体は学生であり、その内容は下記のように多岐にわたっています。
2026年度生が取り組んだ研究テーマ(前期)~オリジナリティを求めて~
建築分析チーム
・石原悠夏 | 屋根形状と空間の関係性に関する研究~形状から見た新しい屋根の架け方~
・武村颯音 | 子育てしやすい建築空間に関する研究 ~自由と安心をつなぐ建築空間~
・村岡曜 | 上京区西陣地域の工房の種類に関する研究
行動分析チーム
・木村幸太郎 | どこを歩き、どこへ向かい、どう過ごすのか。~人と空間の関係性に関する研究~
・二宗心桜 | 通過空間における滞在の発生に関する研究~滞在はどこで生まれるのか~
地域分析チーム
・阿彦愛梨 | 町並み保存と建築物に関する研究〜佐渡島の宿根木において〜
・辻遥佳 | 日常の中にある集落の構成要素に関する研究~尾鷲市天満の町の魅力を伝える~
・山崎天翔 | ビニールハウス群の密集形態に関する研究~滋賀県草津市北山田町を対象に~
教室を飛び出す~リアリティを求めて~
理性を培うとともに、感性を磨く。それにはいい建築を見て、体感することが一番。以下は、2026年度生有志とともに、月一回くらいのペースで出掛けた見学先。①祐斎亭(明治期の料理旅館)、②佳水園(設計:村野藤吾、リノベ:中村拓志)、③石水院(寝殿造風住宅)、④光浄院・勧学院(住宅建築の源流)、⑤秦家・藤野家(京町家の建具替え)、⑥千鳥文化(リノベ:dot architects)、⑨聴竹居(設計:藤井厚二)、⑧河井寛次郎旧邸(住まい兼仕事場)、等々。

卒業制作(後期)に取り組む~自分らしく生きる道~
後期がはじまり、現在は前期で得られた研究成果の実践の場としての卒業制作に取り組んでいます。卒業制作というのは、たいへんなエネルギーを使います。建築の学生というのは不思議なもので、就職も決まり、遊びたいだろうに、何故ここまで打ち込めるのだろう?と思うことはあります。私が言えることは、その時間は決して無駄ではなく、今後の人生の糧になるはずです。長い人生、様々なハードルが待ち受けています。ハードルにぶち当たった時は、仲間とともに切磋琢磨した時間を思い出して欲しいと思います。きっと乗り越えられます。残りの学生生活、自分にしかできない時間を過ごし、社会に羽ばたいていってもらいたいと思っています。
(文責:根來宏典)




